古代哲学とギリシア・ローマ美術

西洋哲学と絵画の歴史
XIR412 The Birth of Venus, c.1485 (tempera on canvas) by Botticelli, Sandro (1444/5-1510); 172.5x278.5 cm; Galleria degli Uffizi, Florence, Italy; Giraudon; Italian, out of copyright
3.ギリシア・ローマ美術の特徴
この時代の美術は主に5つに分類されます。

1.幾何学様式時代(BC1000年ーBC700年)例)アンフォラ、ディピュロンの陶器

2.アルカイック時代(BC800年ーBC600年)例)アルカイックスマイル

3.クラシック時代(BC500年ーBC300年)例)幼児ディオニュソスを抱くヘルメス

4.ヘレニズム時代(BC300年ー0年)例)ミロのヴィーナス、ラオコーン像

5.ローマ時代(BC500年ーAC500年)例)ローマンコピー、壁画

1.幾何学様式時代(BC1000年ーBC700年)

画像

下に動物。上に人間が描かれ、周りにはギリシア雷文と呼ばれる模様が描かれている。
画像の作品は葬送の儀式の様子だ。

このような器物は人間の大きさ程度の比較的大きいものも存在しています。

この時代はまだ呪術的な要素が強かったことがこの作品から分かります。

 

2.アルカイック時代(BC800年ーBC600年)

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(引用 https://commons.wikimedia.org/wiki/File:0008MAN-KourosHead2.jpg)

この時代になると男性の裸の像が登場してきます。

画像はアルカイックスマイルと呼ばれるこの時代に多く見られた彫刻です。

この微笑みによって生命力を表しているそう。

3.クラシック時代(BC500年ーBC300年)

赤子のディオニソスをあやすヘルメス像 (撮影:ユーラシア旅行社)

この時代の価値観として、細マッチョやイケメンが好まれました。

人間の体は神様を模倣して作られた体であり、鍛え、美しさを保つことは神様を喜ばせることだという考えが当時あったそう。

それゆえ、この時代からは筋肉質な男性の像や片足の重心を後ろに下げるといったポーズをとる彫刻が多く見受けられました。

ゼウス神(ギリシア神話の神)に捧げる競技祭である古代オリンピックが始まったのもこの頃ですね。古代オリンピックでは全裸で競技を行っており、神に奉公する意識が強く反映されています。

ちなみに優勝者にはオリーブの枝を編んで作った冠が授与されました。

哲学の時代でいうと、①ソクラテス以前 ②古典的 の部分に該当しますね。

<自然>や「イデア」など、神秘的な目に見えないものへの熱量が感じられます。

4.ヘレニズム時代(BC300年ー0年)

ミロのヴィーナス


ラオコーン像

この時代、アレクサンドロス大王が「東方遠征」によってエジプトやメソポタミアなどの莫大な地域を手中に収めました

ギリシア文化が各地に広がり、ギリシアが栄えた時代。

ミロのヴィーナス」や「ラオコーン像」のようにダイナミックで美しい彫刻が登場しました。

哲学の時代でいうと、③ヘレニズム期

この時代は混沌の時代であり、「隠れて生きる」エピクルス派「自然に従う」ストア派の2つの思想が有名でしたね。

美術作品からは、きらびやかなヘレニズム時代を連想することができますが、その一方で支配された国々や貧困層の人々の生活は劣悪であったことが推測できます。

 

5.ローマ時代(BC500年ーAC500年)

ポリマプルタのアウグストゥス
(引用 https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Statue-Augustus.jpg9)

この時代、ローマ帝国ができます。
しかし、文化としてはギリシアが発展していたため、ローマ人はギリシアの文化を多く取り入れていきました

現存するギリシア彫刻のほとんどが「ローマンコピー」と呼ばれる彫刻です。

なぜ、ギリシア文化で作られた彫刻は残っていないのでしょうか?

実は、ギリシアで作られた彫刻は「ブロンズ」(青銅)で作られているものが多く、戦争中、このような彫刻は溶かされ「武器」に変わってしまったのです。

そのため、今現在残っている彫刻は「ローマンコピー」が多いわけです。

ギリシア彫刻とローマ彫刻の違い

・ギリシア彫刻 モチーフがギリシア神話(理想主義)/  青銅で作られていたため動きが大胆

・ローマ彫刻  権力者や英雄など人物像(現実主義) / 大理石のため動きが少ない

 

 

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